この山は、アイスフィールド・パークウェイの中ほどに位置している。地質学上マッターホルンと形成過程が同じこの山は多くの写真家の被写体ともなっている。その山に縦に走る数本のシュート。そのシュートの一つをやっつけたストーリー。
Mt Chephren’ Couloir
Text by Atushi Onoue

2001年4月15日 Mt Chephren’ Couloir (3307m) 

Water Foul Lake Camp Site 5:30 起床

前の日の仕事で疲れていたのか、かずしの車は思いのほか快適で短いながらも熟睡した。外は小雪、しかし周りの山並みがうっすら見える。これなら行けると準備開始。外気温は−5度ほどか。寒くは無い、このまま気温が上らない事を祈る。 

 Lake’s North End Parking  7:20 出発 1665m

恐る恐る湖を渡る。50m北にはもう流れ出しているミスタイヤ川を見る事が出来る。こんな時期でも結構渡れてしまうものだ。 難なく渡り終える。ケフレンは雲の中に隠れ見えない。あらかじめ方角を決めてあったコンパスを頼りに森の中へ。最悪のラッセルが始まる。雪はまさに春のコンディションになっている。膝まで、時には腿まで埋まりながら進む。7:55森を出てミスタイヤ川にぶつかる。しばらく川沿いに歩き、コンパスを確かめ、また森の中へ入る。ラッセルはどこを通ってもコンディションは変わらす。8:40一つ峠を越えてケフレン川へ出る。1720m 雲の隙間からケフレンが見え隠れする。 

 End of The Forest 9:20

きついラッセルを終え森の外へ出た。サン・クラストして雪のコンディションか良くなり若干歩きやすくなる。Weeds帯を歩く。此処は正にアヴァランチ・パスである。疲れからか危険に対する注意力低下。そこを堂々と歩く。

Rest 10:45

それでも安全そうな所を求め、背の低い若いモミの林まで登り、そこで初めての休憩らしい休憩を取る。此処もアヴァランチ・パスには変わらないが、このモミの大きさを観ると、ここ何年もこの林は雪崩に飲み込まれてはいないようだ。軽く食事と取る。10:15再出発。 

 Just Bottom Of The Couloir(取り付き点)10:45 1975m

やっと取り付き点に到着。上を見あげる。長い、とにかく長い。此処からではシュートの始点は見えない。斜度は30度を少し上回っている。そのままスノー・シューズで上り続ける。この時、雲は高く、小雪こそ降っているがシュートを覆い隠すほどではない。 

 Pit 11:05 2050m

此処で初めてピットを掘る。雪は完全に結合して適度に締まり、このシュートその物の雪崩の心配は無いと判断。斜度は40度に近づき始めたため、スノー・シューズとスキーポールをそこに置き、替りにクランポン(スノーボード・ブーツとの愛称は最高であった。キック・スッテプを切ってもずれない、痛くない。優れものである。氷河の上でも当然つかえるであろう。)とアイスアックスを装備する。11:45上昇開始。このシュートそのものからの雪崩は無いと判断したものの、両サイドのクリフからの定期的なスルフ、もしくは唸りを上げて落ちてくるスノーボールは気分のいいものでは無かった。そのたび足を止め、耳を澄まし、上を見上げる。

 Top Of The Couloir 14:45 2545m

ゆっくりと、ゆっくりと、しかし休むことなく3時間登り続けシュートの始点へ到達。僕はてっきりこのシュートはケフレンの左肩のリッジまで伸びているのかと思っていたが、左肩のリッジと此処の間にはもう一本シュートが走っていた(このシュートは高速から見る事が出来るが、一箇所、非常に狭くそしてクリフになっている所があり実際滑るのは無理であろうと思われる)。写真を取り、腹ごしらえをして下降準備をする。晴れ間も見え始め、15:20下降開始。 

Pit 15:50

交代で写真を取りながら下った。長く美しいシュートであった。雪質は大部分が硬く締まり気が抜けなかった。CASIOProTrekの気圧計で行くと標高差は、登り初めに掘ったピットまでで500m。長さは1kmほどか?平均斜度40強、最大斜度50度。

 16:00 スノー・シューズとスキーポールをパックに付け、なだらかになった残り斜面を再下降。 

 Entering The Forest  Again 16:10 1775m

Weeds帯の中まで滑り降りそこでスノーボードとスノー・シューズを取り替える。

16:30 行きに作ったラッセル跡に合流して、そこを歩く。 

 High Way 93 17:50 1650m

雲が晴れ、東に傾きかけた太陽がケフレンの右肩に表れた。ラッセルされたトレイルを歩きながら何度もケフレンを振り返り、時には写真を取った。行きに森を抜けるのに2時間費やしたが、帰りは1時間20分で車まで戻れた。降りということも当然あるがラッセルされたトレイルをたどったと言う事が一番の理由であろう。そしてあれだけ恐ろしがっていた湖も難なく渡り返してしまった。まったく問題ないようであった。

 登山技術、コンパス・ワーク、雪崩予知、春先の雪質、クランポンのテストなど、このTripは全てにおいていい経験になった。

追記、もし仮に、キャンプ場からケフレン・レイク経由でシュートを目指したら、取り付きまででも5時間はかかったのではないだろうか。それほどまで雪質は悪くラッセルはきつかった。

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