SKY LADDER
 

 SKY LADDER意味は「空へのはしご」

 その斜面はその名の通り空に向かってまっすぐに広がっている。

 右の写真を見てほしい。MTアンドロメダ。この山の右端上方の斜面がスカイ・ラダーである。

 
 SHOOTERS3これは、僕らのチーム名である。

 ある日SHOOTERS3の面々が出会った。それぞれ、一人では手に負えない斜面をもてあましていた。

 スノーボーダー3人。やっつけたいテーマが合致するは稀なことである。

 それが、見事そろったのがSHOOTERS3である。僕らにとって今のところ最も大きなテーマが、このスカイ・ラダーだった。

 
 スカイ・ラダーはMtアンドロメダという山に登るためのクライミングルートだ。96年にカルガリーのスキーヤーがファースト・ディセントを奪って以来、何人かのスキーヤーがチャレンジしているが、スノーボードでは初の試みのはずだ。

 否応なしに心は弾む。問題の斜面に到達する前に大きな氷河を越えなければならない。氷河の上にはクレバスと呼ばれる氷の裂け目が雪の下に隠されている。長めにロープを伸ばし、ハーネスに装着する。クレバスに落ちたら、ただでは済まない。氷河の上を慎重に進む。

 右の写真はクレバスの上に出来たスノー・ブリッジを越えているところ。

 
 スカイ・ラダーを登る。雪質はパウダー。快適なすべりが楽しめそうだ。斜度は最大で50度ぐらい。最近シュートに慣れてきたので、SHOOTESにとってはさほどの斜度ではない。

 スカイ・ラダーの上部に入ると雪が氷に変わってきた。フロント・ポインティングで登る。楽勝ムードがキンチョーに変わる。氷の上を滑るにはかなりのテクを駆使することになる。

 休める場所を探す。ここまで来ると、あたりまえだが平らなところがほとんど無い。斜面の端に平らなところを見つけて休憩する。下を眺めるとかなり登ってきたことが分かる。

 左の写真は後ろが、コロンビア・アイス・フィールド。一番高く見える山が、アルバータ州で一番高いMt、コロンビア。

 

 
 僕らの目的は頂上を目指すよりはどちらかと言うと、滑り重視。天気が悪くなって来たので、アンドロメダ頂上を目指すのは中止。

 スカイ・ラダーの上で滑る準備を始める。風が強く、板が飛びそうだ。バックパック、スノーボードをアイスアクスで全て固定する。

 強い風の中を滑り降りる。スカイラダーの上部は風で雪が飛ばされ、かなりのテクニックを必要とした。テーブル・トップでかっとんでいるキッズ達には興味ないだろうが。おじさんになると分かる一歩上の楽しみだ。

 斜度は無いが3センチ程積もった雪の下には氷が張り詰めていた。時々エッジが抜ける。板をフラットにしてチョッカルしかない。雪が吹き溜まっている所を選んで、スピードを落とす。

 
 
 スカイ・ラダーの核心部に差し掛かる。キンチョーは恐怖で、それは喜びを与えてくれる。何かが普段眠っている神経を呼び覚ます。自分が持ってる能力を全て引き出すには何か特別な状況が必要だ。それが、今。

 転んだら、ただでは済まない。それでも、滑りはスポイルしたくない。頭の中で何かが戦う。まずは、アツシが、氷河に向けてダイブ!それが上の写真。

 その後、カザも突っ込む。彼の滑りもアグレッシブ。アサバスカ氷河の雪上車観光の折り返し地点もかなり小さく見える。

 
 最後に、僕も突っ込む。雪はなかなかだが、やはりこの季節は重い。自分で切った雪が足元をすくう。軽いスルフに流されながら、その上を泳ぐ。まるで雪のベルトコンベア−に乗ったみたいだ。

  スルフから逃げてフレッシュな雪の斜面を求める。スピードとの戦い。出来れば真っ直ぐフォールラインに板の先を向けたいが、恐怖がそれを押しとどめる。自分の限界をはっきり知る機会に日常ではなかなか出会うことは無い。ここにはそれがある。そして、それははっきりしている。限界を超えることは出来ない。ぎりぎりを求めるのはその人の基準による。自分の器の小ささを思い知る。ただ、知らないよりはいいんじゃないかな?

 目の前にシュルンドが迫る。カザのトラックを見つけると、それは迷うことなく真っ直ぐにシュルンドに向かっている。「あいつはクレイジーだ!シュルンドの一番広いところを越えてるじゃないか!」上からはそう見えた。

 下に向かって叫ぶ。「シュルンドはどこを越えればいいんだ!」カザが答える。「飛べ!どこでもいい!」

 僕は彼の言葉を信じて氷河の裂け目に向かって落ちた。シュルンドのエッジが近づいてくる。そして、板が雪面から離れる。

 ずいぶん長い間、空気の中を飛ぶ。そして着地。思ったより落差があり。重いバックパックが、着地の時僕の体を雪面に押し付けた。何とか持ちこたえ、仲間のもとへ!

 「SHOOTERS」これからも、まだまだ続きます。

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